カミングアウト

オットから上海行きを打診されてから、最も私を悩ませたのが「どのように」「どのタイミングで」ムスメに移住を伝えるか、ということでした。

ムスメは現在、小学校6年生。
ひとりっ子で早生まれであるせいか、同級生の子たちと比べて少し幼い感じは残るものの、何か話しかければ「はーい」と返事をしていたのが「えぇ〜」だの「はぁ?」だのという返事をするような、きちんと反抗期を迎えている、ちょっぴり不安定なお年頃です。
また、6年生に進級した際、本人の意向で中学受験することを決意し、夏休みは塾の講習でスケジュールはギッチリ。受験に向け、いろいろ我慢しつつ頑張っている・・・そんな状況でした。

  • 「どのように」伝えたか

以上の点も鑑み、親の都合で有無を言わさず連れ回すべきではないと判断したオットと私は、渡航する理由・渡航時期を彼女に伝えるとともに、次の3つの選択肢を提示し、本人に判断してもらうことにしました。

  1. 寮のある中学校を受験する(不合格の場合については、あえて言及せず)
  2. オットもしくは私の実家に祖父母と同居、地元の公立中に通う
  3. 上海に同行する

お気づきの方もいるかもしれませんが、この選択肢は順番も意識して列挙しています。

本音を言えば(3)を選んでほしいし、特に(1)の場合は経済的にほぼ実現不可能です。(2)に至っては、祖父母たちにもまだ上海行きを伝えていない状態な上、引き受けてもらえるかも分かりません。
それでも敢えて選択肢を提示したのは、「本人の意思で決断した」という事実が必要だからでした。

というのも、オットと私は渡航後のムスメの進学先として、現地校国際部の中文部(※)を考えているからです。

(※)現地校国際部には主に中国在住の外国人子女を受け入れており、
   「英文部」と「中文部」があります。
   「英文部」は、ほとんどの教科を英語で学び、
   「中文部」はほとんどの教科を中国語で学びます。

入学後の半年間、中国語をきっちりマスターする期間が設けられていることや、周りの子たちもノンネイティブなので、きちんと努力すれば「ついていけない」というような事態にはならないとは思うものの、やはり大変な思いをするのは間違いありません。

辛い状況になったときに「親の言いなりでついて来た」のと「本人の意思で決断して来た」のとでは、努力できる度合いが全く違ってくるはずです。

  • 「どのタイミングで」伝えたか

ちょっと卑怯かな〜とも思ったのですが、「夏期講習や勉強合宿をがんばる!」とせっかく本人がやる気を出しているところに水を差したくなかったので、8月末に伝えることにしました。
オットの知り合いで、お盆に上海から一時帰国するという方の協力を仰ぎ、ご家族で我が家に遊びに来ていただく手はずを整えて。

大人たちの目論見通り、子ども同士が仲良くなってくれたおかげで、ムスメの「誰も知っている人がいない外国に行く」という恐怖感がかなり緩和されたようでした。

  • 伝えたときのムスメの反応

ポロポロと涙を流しながらも冷静に話を聞いてくれました。そして、少し考えた後、提示した選択肢から(3)を選んでくれました。
かなり誘導した部分もあるので良心の呵責が無い訳ではありませんが、嬉しかったです。

伝えてから1ヶ月経ちますが、今のところ精神的に不安定になっている様子はないようです。学校の担任の先生にも「様子がおかしいと思われたら連絡してください」とお願いしていますが、それもありませんが、出国が近づくにつれ不安定になると思われるので、きっちりフォローできるよう注意していきます。

伝える前はヤキモキして体重が減ったりしましたが、理想的とも言えるくらい丸く収まり、私にとっては大きな大きな肩の荷が降ろせてホッとしています。


まだまだ移住する実感は湧いていませんが、ひとつひとつ問題をクリアーしていくことで「その日」に向かって着実に歩いているんだなぁと思います。